そうじゃないものの時は、「うーん。これかなあ。何かちがうな。」と思うけれど、それが現れると「そう!これこれ!!」とはっきりわかることがあります。抽象的な話ですが、普段は料理の味とかで感じることがあるのではないでしょうか。
何度も行っているパチンコ店の仕事にその日ゴロスできたのは、ベテランのハルエさんでした。
ハルエさんが叩き始めたとたん、私は「あ〜、チンドンのノリってこれだあ!」と嬉しくなりました。
若手でもチンドンやゴロスの上手な人はいて、どんなに速い曲にも対応してくれたりするのですが、ベテランと決定的に違うのは「ノリ」なのです。
私は、そのチンドン独特の「ノリ」が好きで多分チンドン屋を続けているのですが、そのノリを具現化できるベテランさんはだんだん少なくなってしまい、後を受け継ぐ人がいないのがさびしい限りです。
しかし、では何が違うかと言われると、うまく説明できないのです。つまり、どうしたらそのノリが出せるのか???謎です。
親方たちの生きた時代との違い、キャリアの違い、仕事量の違い、歌に対する思い、仕事への思い入れ、他人から徹底的に叩きこまれたこと、昭和の抑揚、腰の入り方などなど、さまざまな要素が重なり合っての結果なのかもしれません。
でも、今そのノリがなくなってしまいつつあるからといって、自分がやめるのはさびしい気がします。どうにか謎にせまりつつ自分の中にも残して行きたいものです。