母が東京にいる間は、孫たちと遊び、私とケンカしながらも楽しい日々だったろう。外食や、デパートでの買い物も久しぶりで、バカンス気分だったに違いない。
私たちと一緒に暮らしたいという気持ちがないわけではないが、どこかで、それは難しいとも思っているようだ。夏休みを前に、私は母を仙台に連れて帰ることにし、長いようで短かった同居生活も終わることとなった。
認知症かと思われた症状も全くなく、思ったよりもずっと元気だったが、介護認定はひと月遅れで出るので、「要介護1」という認定になった。
母は2ヶ月ほどの間に、ショートステイやデイサービスも経験し、もっと年をとった時のことを考えるきっかけになっただろうし、私は私で、介護生活の疑似体験をすることができた。今回は、たまたまこれくらいで済んだが、これから母はますます老いて行くわけだし、いつどうなるかわからない。そのための覚悟ができたかというと、いささか心もとないが、この経験を通して、身にしみて感じたことがある。
それは、今の母は、私の数十年後の姿かもしれないということである。このことは、否応なしに今の私自身の人生を見つめ直させる。