最近は、認知症の人を対象とした、「物忘れ外来」というのがあって、母が来る前に「東京都老人医療センター」に予約していたのだが、ケアマネージャーのOさんが、物忘れ外来のあるクリニックを紹介してくれた。それは、意外にも家から歩いて15分ほどの、時々行く商店街の中にあった。東京都…の方はキャンセルして、そちらのクリニックにみてもらうことにした。もう、その時点では、ほとんど認知症とは言えなかったのだが、こうなった原因を知りたいのと、今後の予防のためということもあった。
クリニックでは、これまでの経緯をよく聞いてもらい、簡単な知能テスト(野菜の名前を10個あげて下さい、というような)と、内科的な検診などをした。母は、混乱していたときの記憶が抜け落ちているので、その部分は私が代わりに説明した。
医師の話では、一時的に認知症のような症状になったのは、おそらく抗うつ剤の副作用だろうということだったが、もうひとつは、脳に血栓などができて、一時的に血流が悪くなった可能性も考えられるという。いずれにしても脳のMRIを撮りに、もう少し大きな病院に行かなければならなっかた。早速、予約を入れてもらい、数日後、MRIを撮りに行くことにした。
病院や、買い物など、毎日のように外出して、疲れないだろうかと思ったが、母は、久しぶりの東京や、私との外食がとても嬉しいようだった。
何事にも消極的な母の性格だと、一人でランチを食べに行ったり、洋服を買いに行ったりというのはまずありえないのだ。十数年間の一人暮らしは、孤独で、そして圧倒的に刺激が少ないのだった。